塾講師のアルバイトを始めて2年余りが経ちました。
その頃には、生徒たちのことが理解できるようになり、教えるスキルも始めたころと比べると、格段に上がっていました。
生徒たちから信頼されるようにもなっていました。
加えて、一緒にアルバイトをしていた仲間との関係もほんとうに良く、日々楽しく充実したアルバイト生活を送っていました。
しかし、その楽しく充実した日は永遠には続かなかったのです。
私は学生だったのです。
卒業という日があり、卒業後の就職について考えなければならない時がやって来たのです。
就職活動する前に、いろいろと悩んで、考えました。
経済学部に在籍していた私は当然文系就職です。
家には山ほどの企業の資料がDMで送られてきました。
一応目を通してみるものの、大きな会社で、営業とか経理とかしているイメージが全然湧かなかったのです。
その頃、なぜ大学受験の時に経済学部を選んだのかを思い返してみました。
子供のころから、私はものを創るのが好きな子供であったので、本来はメーカーに勤めて、「ものづくり」を志すべきだったのでしょう。
しかし、悲しいことに「理科」に興味を持てず、好んで勉強しなかったので、高校時代には「物理」や「化学」はほんとうに苦手で、工学部などの理系の大学に行くことはあり得ない状況でした。
それで、数字や、商売は嫌いではなかったので、経済学部や商学部を受験し、経済学部に入学しました。
「ものづくり」が好きな私は、大学に入りたての頃、「将来起業したいなぁ」「自分の会社をつくりたいなぁ」とおぼろげながらに考えていました。
しかし、何をしたいかは、しっかり決まっていませんでした。
だから、大学時代はいろいろな業界のアルバイトをしながら、いろいろな業界を垣間見ようと思っていました。
塾講師のアルバイトと並行して、いろいろな業界のアルバイトをしながら、いろいろな業界を垣間見ました。
結局、塾講師のアルバイトが一番熱くなることができ、やりがいを感じ、自分にはしっくりきていました。
時代背景的を考えても対象の小中高生が団塊ジュニアの世代に入り、活況な業界と感じたので、「塾業界ありやなぁ」と思い始めました。
しかし、その旨を両親に話したところ、相当強く反対されました。
両親はだれもが知っている大企業に就職するか、公務員になってほしいと思っていました。
確かに、両親の言っていることは正論で、自分の考えは間違っているようにも思えました。
「就職活動や公務員試験から逃げているのかもしれないのでは」
あるいは
「社会に対する適合性がないのでは」
などと自問自答する日々が続きました。
しかし、世間知らずの当時の私は、思えば思うほど、反対されればされるほど「塾業界」に対する思いが大きくなっていきました。
そして、「塾業界」に入ることと同時に、将来起業することに対する思いも大きくなっていきました。
両親と何度も話しました。「塾業界」のこと。「将来の起業」のことを。
さすがに、両親は自分の息子の性格はよくわかっていたのでしょう。
言い出したら、最後まで曲げない性格であるということを。
最終的には、理解を示してくれ、許してくれました。
許してもらい、方向性が決まると、次の悩みが新たに生まれてきました。
(つづく)
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