前回のブログに書いたように、『大志学園』1年目は、生徒になってもらうことの難しさを感じ、
誰も生徒になってくれる人がいないことを想像した際の恐ろしさに押し潰されそうになりながら、
自分たちにできることに精一杯する、
すなわち、通ってくれている生徒ひとり一人と向き合い、出来る限り丁寧に粘り強く指導し、「わからなかった」ことを「わかるように」、
「できなかった」ことを「できるように」するよう粉骨砕身する日々を送っていました。
新参者ゆえの、生徒の偏り…
ありがたいことに、塾生の数は少しずつ増えていきましたが、新参者の『大志学園』に通ってくれる生徒は受験を目的とした高校3年生が大部分を占めていました。
1年目の終わりの頃の生徒数は80人、そのうち51人が高校3年生、実に60%以上が高3生で、中1から高2の残りの5学年合わせても40%弱のいびつな状況でした。
このいびつな状況に、スタート時よりも大きな不安と恐怖を感じていました。
関西エリアでは1月中旬にはセンター試験があり、関関同立大、産近甲龍大などの一般入試が1月下旬から入試が始まるので、
大学受験を目指すための塾は、1月で大半の授業が終わり大半の生徒は卒塾してしまいます。
だから、2月には生徒が激減し、売り上げも激減してしまうのです。
年が変わっての2月のことを想像すると不安しかないですが、通ってもらっている高3生全員を無事に大学生にしなければ、仕事を全うしたことにはならず、われわれの仕事人生も先にもつながらないと考え、不安な気持ちをなんとか抑えながら生徒たちと全力で向き合うその年の晩秋でした。
そんなある日、一人の高校1年生の女の子が「大志学園に入りたいと思っている」と扉をたたいてくれました。
大志学園を変えた生徒との出会い
彼女は、地域のトップの公立高校に通う生徒でした。
『大志学園』にとって初めてのトップの公立高校に通う生徒でした。
『大志学園』についての説明をひと通りした後、
彼女に『大志学園』に入ろうと思った理由を聞きました。
彼女曰く
私は、学校の勉強にほんとうについていけていなくて、成績も下から数えて1桁の状態です。
何とかしないといけないと思って予備校や塾に話を聞きに行ったけれど、話を聞いているうちに、その予備校や塾に通っても、学校での状況と同じことの繰り返しになってしまいそうだと思いました。
さらに個別指導の塾などに話を聞きに行けば、教えてくれる先生は大学生で大丈夫かなと思っていました。
「自分は、塾にも見放されているのかなぁ」と悩んでいました。
そんな時、学校の前で配られていた『大志学園』のチラシを見て、
「新しい塾なので、周りの子たちもほとんど知らないはず、だから生徒もそれほど多くはない、だからちゃんとした先生が、私に丁寧に教えてくれるかも」
「ここならイケるかも」、と思って来ました。
彼女はしっかりと『大志学園』を選んだ理由について答えてくれました。
いろいろとやり取りをしたうえで彼女は冬休みから『大志学園』に通うことを決意してくれました。
キャリアのなさや知名度の低さという弱点のとなりにチャンスがある場合もあるということを彼女によって改めて教えられました。
しかし、大切なのは彼女が『大志学園』に入ってくれたことではなく、この先彼女の悩みや苦しみを解決し、「できる」ようになりたいという彼女の藁にも縋るような期待に応えていくことが私たちに課された使命だと感じていました。
その後、この女の子が大志学園を大きく変えることになるのでした。
(つづく)
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